鎌田特許事務所
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意匠登録出願をもっと行おう

投稿日: 2020年7月15日投稿者: 田川孝由

 

一般的に、知的財産権での製品保護といえば特許権の取得だと考えられており、初めから意匠権の取得を検討されている方は限られていると思います。

しかし、効果的な製品保護のためには、特許権だけでな く、意匠権による保護も視野に入れることが重要で す。

このため、知的財産権での製品保護は、意匠権と特許権をミックスした保護をすべきです。すなわち、技術保護を意匠権で補完するのです。技術的アイデアが形状として現れている時、特許権のみならず、意匠権でも保護すべきです。

意匠登録出願は、技術的アイデアの特許性の有無に関わらず(発明としては特許権を得ることができないとしても)、形状に新規性などが認められれば保護でき、一般的に意匠権は特許権よりも短期間で取得できるため、迅速に権利取得ができる点、出願日から25年(2020年3月31日以前の出願は登録日から20年)と特許権に比べれば、権利期間が長い点など様々なメリットがあります。

特に、技術的に飽和し、特許権での差別化が難しくなっている分野の場合、形状での差別化を行うことができます。

企業や個人の中には、実際には意匠権を取得できる可能性があるにもかかわらず、自社製品では権利化ができない、と思い込んでいることが多いと感じています。

工業的な大量生産を前提とした形状であれば、「デザイナー」の関与がなくても、意匠登録の対象になります。
例えば、意匠登録第1413294号等のように、抵抗素子を樹脂パックした、箱体に端子である対の足を設けた抵抗器でも意匠登録されております。


意匠登録第1413294号参考図

 

また、意匠権が取得できる対象は長期にわたり形を維持できる製品に限られると考えている方がいますが、菓子や食品であっても意匠登録できます。
例えば、意匠登録第1641790号のように、菓子パンに関する意匠登録が多数あり、同一物を反復して量産し得るものであれば、食品等であっても登録の対象となります。


意匠登録第1641790号斜視図

 

さらに、意匠は少し形(デザイン)を変えれば、侵害にならないから、意匠権を取得しても意味がない。と考えている方が多いと考えます。

しかし、意匠権には登録意匠に類似する範囲にまで権利が及ぶため、思っているよりも強力な権利となる場合があります。当事務所でもそのような意匠権で係争した事例もあります。

せっかく時間と費用をかけて開発した製品に対しては、その開発経費を無駄にしないためにも、意匠権を始めとする産業財産権による手当てをしっかり行うことが必要です。

デザイナー様においても、例えば、コンペティションに応募し、不採用となったデザインが、応募先に無断で製品化されたとしても、そのデザインに意匠権がなければ手の打ちようがないのが現実です。

また、販売予定がないコンセプトモデルを展示会などで発表した場合に、それを見た第三者が似たような製品を世に出しても、そのデザインに意匠権がなければ手の打ちようがありません。

自分が創作したデザインを守るためには、意匠権を取得しておくという意識が大切です。

このように、意匠登録出願は、製品を開発した際、特許出願とともにその適否を考えるのが重要です。

当事務所では、その保護に精通したスタッフを揃えてりますので、新製品を開発された場合、気楽にご相談ください。